深層学習による海面水温予測

深層学習による海面水温予測
2022.04.13
海面水温(SST)の予測は、特にSSTの変動が大きい地域において困難な課題である。このような予測は、物理ベースのモデルによって行われる場合があるが、これらは予測精度が低いことが多く、計算コストも高い。一方で、データ駆動型手法は高い予測性能を示し、計算負荷も比較的低い。しかし、近年のSST予測に関する機械学習研究では、SST変動を支配する重要な気象パラメータが考慮されていない。そこで本研究では、過去の気象要素を入力として翌日のSSTを予測する複数の深層学習(DL)モデルを提案する。提案モデルには、ディープ多層パーセプトロン(deep MLP)、長短期記憶ネットワーク(LSTM)、および空間2次元畳み込みニューラルネットワーク(spatial 2D CNN)が含まれる。これらのDLモデルの有効性を、東北地方(日本の東海岸)の複数地点において、現地観測データによる検証も含めて評価した。各モデルの予測性能を評価した結果、沿岸域ではspatial 2D CNNが高い予測精度を示した一方、沖合域ではdeep MLPとLSTMが同程度の予測性能を示した。さらに、過去のSSTデータを追加特徴量としてspatial 2D CNNを改良したところ、誤差は0.35℃から0.75℃と非常に小さく、相関係数は0.64から0.96と高い値を示した。これらの改良後の性能は、持続モデル(PM)と比較するためにRMSEおよび相関(RC)フェーズダイアグラムを用いて評価した。その結果、改良モデルの性能は一貫してPMを上回ることが確認された。さらに、性能向上の要因を理解するためにspatial 2D CNNから特徴量を抽出したところ、提案したDLモデルがSST変動を支配する主要な気象および海洋要因を適切に捉えていることが明らかとなった。以上より、提案するDLモデルは信頼性の高いSST予測が可能であり、他の研究地域にも同様に適用可能であると結論づけられる。

研究成果

  • "Deep learning models to predict sea surface temperature in Tohoku region", Kalpesh R. Patil, Masaaki Iiyama, IEEE Access, Vol. 10, pp. 40410-40418, 2022-04. DOI: 10.1109/ACCESS.2022.3167176 https://ieeexplore.ieee.org/document/9756452